三浦半島最高峰、大楠山(標高242m)の麓、芦名にニリンソウの群生地がある。 首都圏近郊では比較的自然が多く残されている三浦半島だが、ここでも開発が
進み、ここほど大きなニリンソウの群生地はもう他には残されていない。 ニリンソウの花が満開になるのは桜の花が散る頃だが、そろそろ葉が出てきて いることを期待して、芦名を訪ねてみた。 予想に反して気の早いいくつかの株が既に花をつけていた。 |
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ニリンソウはその名前の通り茎の上部に2つの花をつける。面白いことに2つの
花は微妙に開花のタイミングをずらしている。一時的環境変動への保険だろうか。 ニリンソウと同じ仲間にイチリンソウやサンリンソウがある。いずれも名前通 りの数の花をつける。紛らわしいのは稀に1つしか花をつけないニリンソウや 2つしか花をつけないサンリンソウがあることだ。 ニリンソウは花びらの数が4枚から13枚くらいまでバラバラなのも面白い。 |
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大楠山芦名地区に産業廃棄物最終処分場が建設されることが決まっている。
この群生地に到る小径は、大楠山を源流とするささやかながらも清冽な小川に沿 って続いている。この小径の両側にもニリンソウがたくさん自生していたが、既
に搬入道路の工事が始まっており、ニリンソウを含む緑の表土は完全にはぎ取ら
れていた。やがて小川も谷も産業廃棄物に埋もれてしまう。 ここのニリンソウは満開の春を迎えることが、もう永遠にできないだろう。 4月に満開になるニリンソウが2月に咲き急いでいるのは、自らの運命を知ったから ではないだろうか。 |
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一部数年前に完成している搬入道路の両側にモクレンが植えられている。
モクレン並木も、咲き急いでいるニリンソウたちに歩調を合わせるかのように、 そして埋め立てによって消されていく自然の仲間たちを惜しむかのように、早めの
開花へと走り始めているように思える。 大楠山山麓の早春、満開の梅にメジロが群れ飛び、ウグイスが枯れ草の下で囀り、 タイワンリスが照葉樹の梢の上で追いかけっこをしている。 |
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