石手川断流の謎を追って旅に 2007年12月
松山市市街地の境界を流れる石手川には水が流れていない。しかし奥道後を流れる石手川上流域では石手ダムで取水されているとはいえ水は流れていた。普通の河川では下流に行くほど水量が多くなるのに石手川では下流で水が無くなっている。遠く中国大陸では7000年前に黄河文明を育んだ悠久の大河に断流が発生しているという。石手川断流の謎を知りたくて私はチャリに乗った。
奥道後を流れる石手川。さらに上流の石手ダムで取水されているため水量はさほど多くはない。
岩堰上部の取水堰。この堰で取水された水は左側の水路を通って愛媛ミカン畑に灌漑されたり、松山城の堀に給水されているという。ここで石手川の水量はさらに減少する。
岩堰の様子。かつてこの川は松山市の中心部を流れていたという。治水の必要性から江戸時代に、この場所にあった巨大な岩塊を打ち砕いて流路を現在のように変更したという。両岸に残る岩がかつての名残。
岩堰から下流に下るとだいぶ水量が減ってきている。取水堰もないのにどうして減るのだろう。
とうとうこの場所で石手川の水は流れなくなっている。水は全て地下に浸透してしまう。かつて流路が変更される以前にこの川が流れていた地域には今も脈々と地下水脈が流れているという。
乾燥した石手川の河原。上の写真の部分で消えた水もかつての地下水脈に合流しているのだろうか。
地下水脈などと言うと、政治家や高級官僚の不正蓄財を連想してしまう最近だが。
乾燥した河原には色々な植物が生えていて冬の季節でも楽しむことができる。草紅葉を分けて進むと、やがて左に支流の小野川が合流する。ここで石手川は再び水を得て坊ちゃんスタジアムを横に見ながら重信川と合流し、伊予灘に向かう。
イチジクの黄葉。石手川流域ではイチジクの畑をよく目にする。愛媛ミカンと並ぶ特産品なのだろうか。
河原の石くれの中に淡くひっそりと咲くノゲイトウ。
水が戻った石手川でのんびりと餌を探すアオサギ。
川の水が地下へと消えていくあたりに咲いていたキダチアロエ。
石手川の堤防脇に広がる愛媛ミカン畑。ちょうど収穫の時期だ。